「すべてが滅びても詩と歌は残る・・・・・」(ジムモリソン)
ドアーズ(The Doors)は、1965年から1970年代初めまで活動したアメリカのロックバンド。
ボーカル「ジム・モリソン」は詩人としてのイメージが強くその世界観は
今もミュージシャンやアーティストに多大な影響を与え続けています。
後年、フロントマンのジム・モリソンを主役にした2つの伝記映画が製作されたました。
そしてこの二つの映画における完成度と評価が、ドアーズという神秘に包まれた存在を
よりいっそう際立たせるのでした。
「ドアーズ」
1991年制作のこの映画の監督を務めるのはオリバー・ストーン。
オリバーストーンといえば、自身の戦争体験をもとに60年アメリカを描写する事でも有名。
『プラトーン』、『7月4日に生まれて』はまさに監督の代表作。
そして、この映画「ドアーズ」は監督を代表するアメリカ社会を描いた60年代シリーズ
三部作の完結篇にあたる映画として制作されたのでした。
この映画「ドアーズ」はおそらくこのオリバーストーンの一連の経緯を知らなければ
とても判断に困る映画となっています。一言でいえば「面白くない」
ジムの狂気の部分をクローズアップすることで、ドラックや戦争、社会情勢が
不安定だった60年代のアメリカを表現したかったのかもしれませんが、
主観によりすぎたストーリーと感情移入できないライブシーンの多さに、
ジムモリソン好きなファンが観ても判断に困る映画となっています。
当時の評論も批判的なものばかり。
この映画「ドアーズ」は60年代アメリカを表現したオリバーストーンのファンが
三部作の完結編として観るべき映画なのかもしれません。
ただ、この映画の酷評ぶりに、ドアーズの人気が再熱することも併せて考えれば
オリバーストンの功績も一際大きかったと思います!!
そして、その人気に後押しされ、制作されたのが
「ドアーズ/まぼろしの世界」
2009年制作された映画は新規撮影は一切なく、
すべてジョニー・デップによるナレーションによって
当時の記録映像と音源だけでバンドの軌跡を追うドキュメント映画。
モリソンが1969年に監督・主演した幻の映画
『HWY(ハイウェイ)』の映像も使用されており、
バンド、ドアーズをリアルに想起できるミュージックビデオは、
様々な賞を受賞するほど、高い評価を得ました。
同じ題材を用いているのに、このように評価が分かれる二つの映画。
ジムモリソンの芸術を深く体験するには、
やはり「ドアーズ/まぼろしの世界」を観る事をお勧めしますが、
やはりオリバーストーンの酷評を受けた「ドアーズ」が無ければ、
ここまでの評価にはならなかったのではないかという
勝手な憶測を踏まえつつ、お時間が合うのなら併せて
映画「ドアーズ」も観て欲しい映画となっています。