占有面積77㎡の2LDKが部屋の配置を大胆に変更することで、広々としたリビングを有する新空間へと生まれ変わりました。DIYを日常的な趣味とするOさん夫妻は、かつて部屋を区切ったパーティションも、ダイニングやリビングにまたがるフローリングも、はたまた寛ぎのためのソファまで、あらゆるものを“自作”してきました。いわば愛着のある“カスタムルーム”を今回思い切ってリノベーションするにいたった背景には、約5年の居住生活におけるお子さんの誕生や成長にともなう家族構成の変化でした。
正方形の間取り中央を貫くキッチンの向きをバルコニー側に変更し、その奥側全面をダイニング・リビングへと仕立てた今回のリノベーション。部屋の印象を決定づける床材はパーケット仕様を選択。ただし、この居間には“雰囲気づくり”のみに終始しない機能性やOさん夫妻ならではの創作性が潜んでいます。その一つに、キッチンの向き変更で生まれた対面キッチンカウンター壁を活用したテーブル&造作棚(コンセント付)があります。ある時はお子さんの学習机として、またある時は書き物やPCでの簡易作業など多目的なシーンをイメージしました。また、リビング最奥の壁面幅に添うように設けたモルタル製TVボードも、部屋の風景に美しく溶け込んでいます。いわゆる「部屋に合わせて家具を選ぶ」という常套手段を選ばず、「生活様式の勝手に合わせて造作する」という発想には、Oさん夫婦のライフスタイルが垣間見えます。
また、ご夫婦の自発的なアイデアは、リビングやキッチンにとどまりません。寝室の壁側に設けた棚板のみで構成する収納スペースは、“隠すことが美”とされがちな昨今の様式概念を優に飛び越えたスタイルとも言えます。とりわけ突出した素材を使わなくとも、この部屋がすでにOさん夫婦の生活動線に馴染んでいるように感じられるのは、この家での居住歴とDIYを重ねきたご夫婦だけの“勘”が働いている点も大きなプラス要因のひとつです。
Nさん夫妻が購入した築40年のマンションは、福岡市中央区のなだらかな丘陵地にあります。独特の地形も手伝い、2面ルーフバルコニーからは開放的な眺望とともに、室内に向けて爽やかな外光が燦々と差し込んできます。今回のリノベーションは、その恵まれた立地環境に加え、第一子の誕生を見越し(竣工時には誕生)、幾度となく調整を図りながら進行しました。
いわゆるインダストリアルデザインを好むご主人とナチュラルテイストを望む奥様のイメージをともに実現するために工夫したのは、所々の「アクセント(=主張)」です。また、子育てに励みながらも、折節に友人や客人を招待したいという夫婦のライフスタイルを踏まえ、生活感を出さないための素材選びや間取りにも配慮しました。靴箱さえ見当たらないエントランスもその一つ。リビングへのアプローチを促す壁の“裏”に隠れた動線(と収納スペース)を設けることで入口の印象は極めてシンプルに。拡幅した通路の壁に設えたアイアンの間接照明がアトリエのような雰囲気を生み出します。一方、期待が募るリビングは、美しいパーケットフローリングを敷き詰めた一大空間が広がっています。とはいえ、要所に配置するキッチンカウンターや家具により、地続きのフロアがきちんと空間機能を果たしている点も見逃せません。物理上外せない支柱を隠すために設けた壁もディスプレイ枠を造作し、入口から続くモダンな空気感を維持。
また何より目につくのが、ガラスを組み込んだRを描くアイアンフレームです。これはリビングと寝室を結ぶ境界線。加えて中には特注の鉄格子があり、ウォークインクローゼットを確保。ともすれば無機質さが先行するアイアンも、フローリングの色味との対比や形状そのものを工夫するだけで、これほどの洗練を感じられるという好例。客人のもてなしはもとより、“視界良好”の暮らし、そして子育てに臨むご夫婦にとってこの上ない空間が実現しました。
かつて両親が暮らした瓦葺き2階建ての家屋が、新たな内装へと生まれ変わりました。場所は福岡県春日市。第一種低層住居専用地域に建つ家とあり、建て替えやリフォームをおこなうにも様々な制約があるなか、両親からこの家を譲り受けた娘のFさん(夫・子2人)はフルリノベーションを決意しました。
一家の「食」を支えるキッチンを起点に、ダイニング・リビングへと続く家族団らんのための“一大スペース”はおよそ20帖。メインフロアにこれほどの広さを確保しながらも、収納棚付きのパントリーや階段下収納など、区画を賢く利用した点に加え、アプローチを挟んだ奥の部屋は壁面部を有効活用しウォークインクローゼットを設置しました。また、旧家の面影を残すインナーバルコニーは、かつて縁側として機能した場所。居室と戸外をつなぐ“回廊”(通路幅約150センチ!)としての役目はそのままに、床をタイルで構成したことで極めてモダンな雰囲気が生まれました。一方、光を取り込む大きな木枠のガラス扉を、往時の姿のまま残した点にもFさんの旧家への想いと粋なセンスが見え隠れします。
さらに、インナーバルコニー天井から下げたコの字型アイアンポールを使えば“回廊”はたちまち物干しスペースとしても機能。動線や機能面を重視した間取りによって使い勝手が増した家。各部の色や素材といったデザイン部分はコードスタイルの施工実例集をもとに進めたFさん。例えばドレッシングルームに設けた白タイル構成の洗面化粧台は「WORKS #61」がベースとなって実現しています。あらゆる生活スペースに戸建てならではの“ゆとり”を感じさせる大空間。愛する2人のお子さんの成長もさることながら、これからFさんは新たな時を刻み始めた家を、ご両親の想いとともに大切に育んでいきます。